ギャンブル障害・債務依存

「ギャンブル障害/債務依存」とは

ギャンブル障害は病的賭博とも言われ、パチンコやスロット、競馬や競輪や競艇、株やFXなどのギャンブルに没頭してしまい、止めたくても止められない状態になる精神疾患です。脳内で分泌されたドーパミンが快感を引き起こすことで依存傾向が高まります。ギャンブルによって莫大な借金を抱えたり、他者との人間関係に支障を来たすことが特徴です。アルコール依存症と異なり身体への悪影響が少ないため、患者さん自身が身をもって症状を自覚することがあまりない点が治療を困難にする要因の一つです。

「ギャンブル障害/債務依存」が疑われる症状

症状には、以前よりも掛け金が増えてきた。ギャンブルをしていない時間は落ち着かない・イライラする。以前止めようと思ったけど止められなかった。ふとした瞬間にギャンブルのことを考えてしまう。ストレスがかかっているときほどギャンブルしたくなる。負けたら後で取り返そうと深追いする。ギャンブルへの没頭を隠すために嘘をつくようになった。ギャンブルのせいで大事な学校や仕事、人間関係を失ったことがある。他人に借金をせがんだなどがあります。
ギャンブル障害の診断で最も大事なのは、ギャンブルによって社会生活に意味のある機能障害や苦痛が生じてきている点です。

【ギャンブリング障害/債務依存チェックリスト】

過去1年間に次の項目4つ以上当てはまれば依存症の疑いがあります。

  • 興奮を得たいが為に、掛け金の金額を増やし賭博をする欲求がある
  • 賭博を中止すると落ち着かなくなる、イライラすることがある
  • 賭博をするのを減らす、中止したりするなどの努力をしたが、成功しなかったことがある
  • しばしば賭博に心を奪われている(賭博の計画を立てる、金銭を得る方法を考える等)
  • 苦痛の気分のときに賭博をする(無気力、罪悪感、不安等)
  • 賭博ですった金を、別の日に賭博で取り戻そうとする(失った金を深追いする)
  • 賭博へののめりこみを隠すためにうそをつく
  • 賭博の為に重要な人間関係、仕事、教育、または職業上の機会を危険にさらし、又は失ったことがある
  • 賭博によって引き起こされた絶望的な経済状態を逃れるために他人に金を出してくれるように頼む

「ギャンブル障害/債務依存」の治療の流れ

治療は大きく分けて入院治療と外来治療があります。外来治療では主治医の外来へ通院しながら院内外の自助グループに参加していただきます。入院治療では同じような障害をもった患者さんたちと「依存症」について学び、これまでの自分を振り返る12週間のプログラムに参加していただきます。退院後は外来治療に切り替わります。
2021年1月時点で、日本ではギャンブル障害に使用できる薬剤は存在しないため、上記のような集団療法や認知行動療法が主な治療法になります。治療の鍵は、通院や自助グループ通所を継続していく患者さんご自身の「意志」にあります。

「ギャンブル障害/債務依存」の治療の流れ図

治療プログラム

外来治療プログラム

ギャンブルをやめられずに様々な悩みを抱えている方々と、やめるためのヒントを一緒に学んでいくプログラムを行っています(ご本人は医師の指示が必要になります)。

【TAG(タッグ)】1月・2月・4月・5月・7月・8月・10月・11月開催(ご本人)
資料を用い、ギャンブルがやめられなかった過去の経験を糧に、様々な側面から検証しながら、具体的な対策を考えていきます。そして、ご自身の体験や気持ちを言葉にしながら仲間と共有し、回復に向けて支え合っていきます。

【ギャンブルワークショップ】3月・6月・9月・12月木曜日開催(ご本人及びご家族)
各週に分け、医師、弁護士、心理士、当時者のお話を前半聞いていただき課題解決の糸口を学びます。後半は本人と家族に別れ、グループセラピーを通して分ち合いを行います。

【ギャンブル・債務(浪費)依存ワークショップ 】

入院治療プログラム

ギャンブルのない生活を支えていくためのグループセラピーを軸としたリハビリテーションプログラムを行っています。主に、精神療法、心理教育プログラム、グループセラピー、運動、外出外泊など、日課や週間予定表に沿って入院生活を過ごします。
依存の根は同じであるという考えから、入院病棟ではアルコールや他の依存症の方と同じプログラムに参加していただきます。また個別プログラムとして、外来のプログラム(TAG)及びギャンブル・債務(浪費)依存ワークショップに入院中参加することができます。
病棟内では素面(しらふ)での規則正しい生活習慣の確立を行い、またグループセラピーに参加することで、同様の問題を抱えた方々と問題を共有し分かち合うことができます。治療では集団生活を通してスタッフや人との関わりが大切になります。